「立ちくらみがつらい。鉄分入りの飲み物を飲めば、今すぐ治る?」
貧血を疑ったとき、そう思うのは自然です。しかし、貧血は飲み物を1杯飲んで即座に治るものではなく、似た症状の裏に別の病気が隠れていることもあります。まず確認したいのは、何を飲むかではなく症状の強さです。
この記事では、急いで受診すべきサイン、その場での対処、貧血対策に取り入れやすい飲み物を管理栄養士の視点から解説します。
目次
飲み物を探す前に症状の強さを確認する
動悸や息切れは酸素不足のサイン
貧血になると、酸素を運ぶ赤血球やヘモグロビンが不足します。その結果、少し歩いただけで息が切れる、心臓が速く打つ、体がだるい、頭が重い、集中できないといった症状が現れます。日本赤十字社の解説でも、赤血球が足りないと息切れ、動悸、だるさ、めまいが起こるとされています。
一方、立ち上がった瞬間だけクラッとする症状は、脱水や血圧の変化、不整脈などでも起こります。「めまいがあるから貧血」とは限りません。症状だけで原因を決めず、いつから、どんな場面で、何分ほど続くかを記録しておくと、診察時に役立ちます。
胸痛や意識消失があれば飲まずに受診する
胸の痛みがある、息苦しくて会話が途切れる、意識を失った、冷や汗を伴って急に悪化した場合は、飲み物を試す段階ではありません。119番へ連絡してください。鉄剤を服用していないのに黒い便や血の混じった便が出る、月経の出血量が急に増えた、安静にしても動悸や息切れが続く場合も、当日中の受診が必要です。
判断に迷ったら、実施地域では救急安心センター「#7119」から、医師や看護師、救急救命士の助言を受けられます。
貧血は飲み物ですぐには治らない
鉄を飲んでも血液が増えるまで時間がかかる
鉄分入りの飲料を飲んでも、直後にヘモグロビンが増えるわけではありません。医療機関で鉄欠乏性貧血と診断され、鉄剤による治療を始めても、一般には1〜2週間で新しい赤血球のもとになる網状赤血球が増え、ヘモグロビンが増えるのは3〜4週間後です。正常値に戻るまでには2〜4か月かかると、慶應義塾大学病院は説明しています。食品や飲み物は、日々の補給を支えるもの。即効薬ではありません。
ふらついた直後は転倒を防ぐ
急に目の前が暗くなったら、まず座るか横になり、転倒を防ぎましょう。衣服を緩め、症状が落ち着くまで運転や入浴を避けます。暑い場所にいた、汗を多くかいた、食事や水分を取れていないという状況なら、水や経口補水液が脱水の改善に役立ちます。ただし、水分を取って楽になっても、それだけで貧血が否定されたわけではありません。
日常の貧血対策に取り入れたい飲み物
「鉄を含む」と表示された商品を選ぶ
飲み物を選ぶなら、イメージではなく栄養成分表示を見ます。鉄分を添加した飲料、鉄の表示がある青汁、純ココアを使った飲み物などが候補です。鉄の含有量は商品ごとの差が大きいため、1本または1杯あたり何ミリグラム入っているかを確認してみてください。
詳しい候補は、貧血の治し方と、すぐ取り入れやすい飲み物の解説で確認できます。ただし、飲み物だけで1日に必要な鉄を満たそうとせず、赤身肉、魚、貝類、大豆製品、青菜などを食事の土台にします。
ビタミンCを組み合わせ、コーヒーは時間をずらす
植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと組み合わせると吸収されやすくなります。鉄を含む食事に、果物や少量の100%果汁を添える方法なら手軽です。反対に、コーヒーや濃いお茶などのカフェイン飲料は食事の前後1〜2時間を避ける方法が、厚生労働省の情報サイトで紹介されています。
繰り返す症状は血液検査で原因を確かめる
鉄不足以外の貧血もある
貧血の原因は鉄不足だけではありません。葉酸やビタミンB12の不足、慢性炎症、腎臓の病気、赤血球が壊れる病気でも起こります。鉄欠乏がある場合も、過多月経や消化管からの出血、鉄の吸収障害が原因なら、補給だけでは再発を止められません。
ヘモグロビンとフェリチンを確認する
症状が繰り返すなら内科を受診し、血算に加えて体内の貯蔵鉄を示すフェリチンについて相談してください。厚生労働省eJIMの鉄に関する資料では、フェリチンは鉄欠乏を見つける指標とされています。月経量、便の色、食事内容、服用中の薬も医師に伝えると、原因を絞りやすくなります。
まとめ
貧血を疑う症状が出たら、最初に見るのは症状の強さです。胸痛、強い息苦しさ、意識消失があれば119番へ連絡し、軽いふらつきでも繰り返すなら血液検査を受けてください。
飲み物は毎日の鉄分補給には使えますが、貧血を今すぐ治す薬ではありません。座る、症状を記録する、受診する。その順番で動けば、危険な原因の見逃しを減らせます。